続けてもいいから嘘は歌わないで

同人作家の同人以外の雑記が主です

トルコスペイン旅行記。トルコ編

以下はトルコ・スペイン旅行の旅行記である。ただ現地で移動中に書いたり、帰ってきてから書いたりしているので、内容のムラがあることは否めない。(比較的)長文なのでまとめることができなかった故の自分のための端書きでもある。細かいところに目をつぶって読んでほしい。

 

 

今回は退社してその日の夜中発の便を予約したので、いかに仕事を仕事人する(婉曲表記)かが重要だった。仕留め損なったことは否めないがとにかく会社を出、乗り継ぎを重ね東京駅へ至る。この時点で成田エクスプレスの発車まであと10分であった。
何はともあれ間に合ったので、来ているスーツ、スラックス、革靴を徐々にパージし旅行の服装へとシフトしていく。おそらく彼らはどこかで遺棄されるだろう(その為に選んだ、とも言える)。
成田エクスプレスは非常に快適であり、その時間にかまけてターキッシュエアラインのオンラインチェックインを済ませる。窓際を望む子供心と11時間に及ぶ機内生活を考慮した通路側の席を望む大人心がせめぎ合い、結果窓際を選択した。これで翼の上だったら笑える(そんな気はする)。
とりあえずよりもいのOPとくるり「ばらの花」を聴く。旅には必要な音楽があり、これらはそれに入っている。同じホームに並ぶ勤め人を尻目に、赤い車体は夜を抜け異国に走っていく。


空港に着き、ポケットWi-Fiを受け取る。予想通り出発は早まっていたが、腹が空いているので閑散としたターミナルを歩き、ヒレカツ重をいただく。揚げた豚肉に白米、付け合わせの味噌汁におしんこと明らかにしばらく食べられない晩飯をかっ込んでたいらげる。今帰国したの?みたいなテンションで食べてた。隣の席が卒業旅行なのか、はしゃぐ男子六人組でなんだか微笑ましいような、うらやましいような。
航空会社の受付に行くとズラリと人が並んでいた。とりあえず端末でオンラインチェックインをし、ぺらぺらのチケット(?)を出力する。ここでタブレットとモバイルバッテリーの片割れをどうやら持って来ていないと気づき、テンションが下がる。
係の人に聞くと、オンラインチェックインの列が別にあるらしい。見ると今並んでる列の1/4ほどの長さだった。オンラインチェックインはするべきである。もしあなたが結婚を考えている相手が空港で「オンラインチェックインしてないな」って言ったら将来を案ずるべきだ。
そして手続きが終わり、荷物検査をし、出国審査(パナソニック顔認証)を済ませたら搭乗を待つのみである。とりあえず持ってき忘れたタブレットの分のKindleをダウンロードした(悲しい)。
搭乗すると隣の席が空いていた。ラッキーだったが通路側のトルコ人らしき人が我が物顔で使っているので、いやまぁ良いのだけど。とりあえず脚が長くて大変そう。
離陸時に目論見通り窓の外を見ると網目のように広がる街灯が見える。この瞬間が好きである。おそらく暗いところは山かゴルフ場かその両方だろう。
離陸から1時間、うつらうつらしてると辺りが明るくなりご飯がきた。日本時間で0時半。夜食である。どうやら席順の問題で食事カートが来るのが遅く、問答無用でフィッシュだった。ここに来てゆかりごはんを食べる。悪くない。普通に機内食うまいなー。とりあえず地中海沿岸の東側はキュウリとトマトとチーズが多いよなー。
とりあえずグレードギャッツビーを見始めるが、ディカプリオが出てくる前に寝落ちする。その後脚の向きに悩まされながらも基本的には熟睡。起きた時にはすでにロシアを横断し、あと1時間で到着といったところだった。無事に9時間寝ていた。まだディカプリオが出てきてないのに。
そして朝ごはんは知らないうちに食べ逃した。まぁお腹空いてないしよかったけど。
着陸間際、機内から街の夜景を見る。暖色に統一された灯が直方体に統一された建物から一定間隔で漏れ通りの場所を表している。高さが一定なので、ホテルが目立つ。市外は真っ暗だ。地形の差で日本らしくない物を感じる。とにかく電飾がなく、白と橙の明かりが大半なので賑々しさはあまり感じない。通りが広く、閑静な住宅地といった趣だ。まぁ空港の付近なんてそんなものか。

f:id:firstlot13:20200118103608j:plain

イスタンブールの夜景

イスタンブール

やけにデザインが良い管制塔?を見ながら着陸。現地時間4時45分。真っ暗である。別に預け荷物もないので、焦らず身支度をする。とにかくターキッシュエアラインの幅の利かせ方がすごい。巨大な整備ドッグもなかなかにイカしている。

空港は巨大だ。機内から見えていたのもそうだが、中に入るとよりその大きさに圧倒される。曲線を意匠的に多用しているのがなんとなくのアラブ感だろうか。とりあえずパスポートコントロールの意味がわからず40分ほどロスする。調べておけよ。
エクスチェンジで換金をし(英語がわからずレートが良くなかった気もするが、これ以上換金すると資金が尽きる)、とりあえずバス乗り場を目指す。そこら辺に銃器を携帯した兵士がいる辺り、イラクの隣国である。
パッションで乗るバスを決め、イスタンブールカードに現金をチャージ。しすぎた気もする。
まだ夜も開けぬ街をイスタンブール市街に向け走る。上から見た通り街頭は暖色のみのようだ。やはり街並みが微妙に違う。車線も違う。街中の高低差が激しく、建物の形も統一されていないのでやけに雑然とした印象だ。所々ライトアップされたモスクのミナレットが街に突き立っている。建物に駐車場がなくてほぼ路駐なのが海外っぽい(オランダもそうだった)
新市街の街中を走る。狭い車道、連なるロカンタ(食堂?)パン屋。ボスポラス海峡を挟んで巨大なモスクが聳えている。やっぱり高い丘に作るんだろうか。アテネの神殿的な。夜空には国旗然とした鋭い三日月。東の空がやうやう白くなりゆき、イスタンブールに朝が来る。海峡に面する巨大なガントリークレーンのシルエットが、世界有数の海峡である所以だろう。
所々のバスの停留所は広場になっている。朝の8時でも割と多くの人が行き交い、朝6時の高田馬場ロータリーくらいには人がいる(例えが汚い)。街中に入ってしまえば飲食店のネオンサインが点々とつき始めこれから押し寄せる人混みを予感させてくれる。

バスを降りる。観光地のど真ん中だが、ホテルにも近い。とりあえずホテルに行き、荷物を預ける。なんかタダで朝ごはんも食べれたので頂いておく。チリトマトがやけに美味かった。荷物を預けて観光地へ赴く。ここで最初の洗礼というか、観光地絨毯押し売りマンに遭遇。おそらく彼らは共同戦線を敷いているようで、なんだか一人と話してると(例えば「日本から来た?僕も日本にいたよ!」とか)わらわらと二人目が現れたりする。とにかく目的はうまく観光のルートに乗せつつ絨毯店にカモを運ぶことなのて、一応観光の仕方(フォトスポットとか)を教えてくれるが基本は日本との友好をチラつかせるために日本に親族がいるとか、行ったことがあるとか言ってくる。いや、引っかかったと言ってしまえばマジでそれまでなのだがこう海外のギアがかかってなかったというのもあり、割とカモられて店に連れてかれた。店ではなんだかバンバン捲し立てられ、とにかく欲しい欲しく無いの判断でなく良い悪いの判断を迫ってくる。つまり、選択肢があれば選ぶ、という詐欺手法なのだけどとにかく電卓を持たずひたすら良い悪いの二択をさせられる。結果的にはチャイを飲みつつ、「買わないよ!」と言い続けると「友達って言ったのに……時間の無駄だったぜ!ゲラウ!」とか言われ追放された。店には中国の人らしき人もいて、とりあえずアジア系の眼鏡をかけている人をカモってるぽかった。いやはやたまったものではない。良かったことといえば英語がわからないなりにゴリ押す言葉遣いを思い出したことだろうか。ちなみにそのあと、観光地のあたりで眼鏡をかけた男旅行者が同じような絨毯売りに連れられて歩いているのを見たが、その2時間後くらいにまたその男を見たら何やらでかいビニール袋を持っていた。まさか買ったのだろうか。

と、アクシデントもありつつ観光ルートに乗っていく。とりあえずスルタンアフメットモスクとアヤソフィアである。とにかくアヤソフィアが圧倒的に良かった。日本語ガイドを聞きながらというのもあったが装飾の情報量がどこを見ても多いのに、全てが統一されている。やはり宗教施設というのは精神に働きかける力を持つ。モザイク画だったりイスラム書道だったりという物も素晴らしいのだが、個人的には壁、床の凹みが良かった。五効の擦り切れもかくやである。何百年もの信仰が物理的に大理石を滑らかに凹ましている。歴史の重みを感じられる。

アヤソフィアを出てテオドシウス帝の城壁を見に行きたいと思ったけれども、トラムの降りるべき駅がわからなかった。Googleマップで調べれば良いのだけどとりあえず海岸の反対に向かうトラムに乗る。目抜き通りをトラムが進むと観光地然とした賑々しさと街の華やかさが混在する風景が見られる。なんか大きそうな駅で降りてから調べたらもう少し乗る必要があり再びトラムに乗る。降りてからしばらく歩くと分厚い城壁が建っていた。それは坂の町を沿うように建っていて沿って歩くとその重々しさに心が高揚した。

f:id:firstlot13:20200118183045j:plain

城壁のデティール。補修の雑な感じが最高


この後2時間ほどは目的もなく歩いたので特に何も起きなかった。やけにパンを大量に持ったおじさんとか何故か靴屋と床屋ばかりある街だとか猫だとかパンとかチャイを頭に乗せて売るおじさんとかがたくさん通り過ぎた。それは観光ではなかったが街歩きだった。そういうのが好きである。

ホテルに一度チェックインして、仕切り直す。とりあえずハマムへ。少し待たされたが割とスムーズに進む。流れとしては、100度近いサウナで汗を流す→泡だらけにされ全身マッサージ→熱湯とぬる湯をぶっかけられながらシャンプー→フェイスパック付きでタオルに巻かれ寝る→お菓子とチャイを飲みつつ身体が乾くのを待つ、みたいな感じだ。
サウナではアラブ人の集団に囲まれてドキドキしたが、とにかくマッサージがやばすぎて体の筋肉を全て解されてる感じだった。これはクセになる。整体に定期的に行く人の気持ちがよくわかった。とりあえずハマム、総じてナイスな体験だった。
ほかった後はボスポラス海峡を見に行く。とにかく港の情報量が多い。ひっきりなしに船が行き交い、空をパーティクルのようにカモメが飛び、釣りおじさんが釣りをし露天おじさんがシャボン玉を吹いている。海峡で分かたれた三つの陸地にはどれもミナレットが突き立ち、そのシルエットは異国を強く感じさせた。とりあえずフェリーに乗るとアジアサイドに着いた。極西である。散歩してから本日初のまともなメシ、キョフテを食べる。旨すぎてのけぞった。最高!
その後地下鉄でホテル付近に戻り、甘い物を食べる。端的に言えばパイの蜂蜜漬けだが、奥歯にくる甘さだ。たまらずチャイで流し込んだ。

2日目、6時に目覚めて7時にはホテルのレストランへ。多分一番乗りだった。パンがやけにうまい。
なんかこの日の文章がないので写真を貼ってごまかします。

f:id:firstlot13:20200119142320j:plain

朝から釣りするおじさん。サバサンドになるのかな

f:id:firstlot13:20200119183631j:plain

ガラタ塔から見た市内。丘の街ですね

f:id:firstlot13:20200119222447j:plain

地下神殿。かっこいい~~

3日目。今日は国内ツアーである。早朝バスに乗り空港に行くことも考えたが、バスのりばに暗いうちに行くのも怖かったので23時に空港に到着し、4時間空港で寝た。イスタンブールの空港は24時間やっているので寝る場所には事欠かない。受付カウンター前やカフェなど場所を転々として飛行機を待つ。そして早朝5時の飛行機でエフェスに飛んだ。エフェスの空港で申し込んだ国内ツアーの案内人と待ち合わせる予定だったが結構待った。適当なものだ。大きめな車内には褐色肌のドライバーしかいなかった。聞けば後でツアーの参加者が合流するらしい。

車窓から見える景色は日本のそれとは全く違った。白っぽい山肌を低木が覆っている。覆うというより五分刈りくらいと言った方が正確かもしれない。日本で見たら禿山と思うくらいの密度で低木が山に生えている。道のそばの木は冬だから葉を落とし(広葉樹だろうか)ていて少し悲しい雰囲気だ(高地では風のせいか奇妙に歪んでいるのも多く不気味である)。遠くに目をやるとあまり鋭い稜線はなく、元々の地形が削られたようなずんぐりとした丘陵が続いている。
空港から山道を進む。曲がりくねった山道はやがてエーゲ海に到達し海を沿うようにさらに蛇行する。この辺りはリアス式海岸で、鋭く白い山の続きが海へ突き立っているようだ。海は深い青で穏やかな波。実際、エフェソスに近い街は夏場はリゾート地として栄えるらしい。これはそのリゾート地で合流した白人のツアーガイドが言っていた話だ。車には元から運転手と僕、そして参加者であるインド人のカップルとツアーガイドがいた。リアス式特有の鋭いカーブを抜けると所々に街が点在している。トルコの田舎ってこんな感じなのだろうか。または最近開発されたせいなのか同じ形の家が固まって建てられている。ゲームの中の街のようだ。まぁ空港からこっちまともな家は少なく使い古された廃墟か建設途中の廃墟しかなかった。工場もなく時々牛や馬がそこらを歩いているのを見ると酪農が盛んなのだろうか。石造りの家だってある。
景色を見ていると枯れた低木が多い。聴くとオリーブの木だそうだ。

マリアの家はなにやら熱心なキリスト教徒の方々と一緒になった。真言を唱え十字を切っている。
エフェソスは凄かった(以下写真)。

f:id:firstlot13:20200120170221j:plain

エフェス。山の感じがヒストリエのそれだ!

f:id:firstlot13:20200120175829j:plain

ランドマークである図書館。細部もすごいのよ



 

ツアーはエフェソスを出てからも続く。荒野を走って着くのは絨毯工場だ。買う気はないが何やらわからず工場に入ると、何やら乗り合わせているインド人のカップルが工場の人に話しかけている。内容は全く分からなかったがカップルが工場を出ていくので素直についていくと、カップルの男性が戻った車で話しかけてきた。多分、絨毯なんて買わないよな、みたいな事を言っている。おぉ、ツアーの流れに飲み込まれないちゃんとした人である。ニコニコして高過ぎますわね(too expensive)なんて言っておく。これはこの後の革製品屋でも同じで、店に入ったらランウェイが設えてある部屋で急にやる気のないファッションショーが始まってウケてしまった。この時もアリー(インド人の男)はさっさと出て行ってしまい、グローバルを感じたものだ。

 

そしてツアーは終わり、俺は一人名前も知らない街のオトガルにいた。バスステーションだ。なんか1時間後にどっかからバスが出るらしい。そんな曖昧な情報を与えてガイドは去っていった。仕方がないのでカルフールを見たり村上春樹を読みながら時間を潰す。全く観光地でもない異国のただの街に一人でいると感覚が曖昧になってくる。白昼夢のようだ。女学生がケラケラ笑いながら歩いていたりガソリンスタンドに次々と車が入っていったりする。そこで営まれる生活に一切関係のない俺が物体として同じ時を過ごしているってとても不思議だ。

そんなことを思っていると小さなバンが来たのでえいやと乗り込む。空港まで、おじいさんと別れた青年やおばさん、実家に帰省していたらしいカップルなどが次々と乗ってきた。生活である。

バンが空港についてから空港でしばらく時間を潰し、イスタンブールへ帰った。

翌日、早朝にイスタンブールの街をぶらついてからスペイン、マドリードへ向かう。