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鳴子温泉で自炊をする

鳴子温泉に行った。鳴子温泉は温泉番付で東の横綱と呼ばれているらしい。日本人は昔は何でも番付にしていたが、最近は何でも打順にする傾向がある。ともあれ、良い温泉ということだ。なら、行くしかない。

 

東北新幹線を古川で降り、陸羽東線鳴子温泉駅に向かう。その日は大雪で、鳴子温泉駅~新庄間が不通となっていた。ギリギリだ。旅行の二日前東京は大雪となっていたがそんなものは冬歩兵にすぎない。本当の冬将軍を見せてやると言わんばかりの雪景色を2両編成の電車が走っていく。

鳴子温泉駅に着くと恐ろしい寒さだった。何より風が良くない。ともかく駅前の食堂でしょぼい天丼を食べる。駅前で食べる天丼なんてしょぼくても良いのだ。

鳴子温泉はいくつかの旅館と公衆浴場で構成されている。その中の一つが出身校の研究室が掘り当てた温泉らしいと聞いたのでとりあえずそこに向かう。古き良き温泉街を進んでいくと真っ黄色のへんてこな建物があり、それがそこだった。

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変に入り口が小さい

噂に名高い鳴子温泉だけあって湯は最高なのだが(と言いつつ温泉の成分とかはよくわからない。適温の湯をなみなみと湛えている空間を最高と称する傾向があることは留意されたい)なにぶん風が冷たすぎた。早々に今夜の宿に退避する。空いている店もまばらな温泉街のはずれに宿はある。

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写真の通り宿は自炊宿だ。宿泊棟では食事付きの宿泊ができるがこちらは自炊部である。部であれば仕方ない。留学生らしき若者に案内されて部屋に向かう。

 

自炊部の構造は特殊であり、建物の外側を廊下がぐるりと囲っている。そしてそこがキッチンも兼ねている。部屋ごとの廊下は扉とは名ばかりの板で区切られており、つまり廊下を行き来するには他人の部屋の廊下を通らないといけないわけである。

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廊下には温水管が通っておりかすかなぬくもりを与えてくれる

宿泊する部屋の隣にはおじさんが3人泊まっており、廊下には魚を入れる発泡スチロールの箱が置いてある。ここにずいぶん長居をしているようだった。

さて荷物を置くとやることはない。部屋にはテレビもなく、宿に備え付けの娯楽は何年前のものかわからない月刊マガジンだけである。となれば風呂だ。ここの宿にはなんと4つの源泉が湧いており全く違う趣向の風呂が楽しめるという。わーい。

とりあえず温泉に入りまくり、部屋に戻り温泉まんじゅうなんぞ食べながらKindleを読んでいるともう夜である。カップラーメンをすすりながら隣の部屋から聞こえるNHKラジオに耳を澄ます。関東では病原菌が猛威を奮っているそうだ。ふすまから見える外の景色は夜の暗さと雪の白さのコントラスト。部屋の石油ストーブが部屋を温めている。静寂の中なんとなしに部屋がきしむ音がする。今度は文庫本をめくる。架空の世界が展開されていく。

という感じで何もしないをしていると朝になっていた。

こんな感じで自炊宿の話は終わりである。温泉は入れてよかったね