WEEKEND WARRIORS

同人作家の同人以外の雑記が主です

東北3県旅行①~乳頭温泉編~

土曜日に仙台で開催されるサカナクションのライブが当たり、都合よく前日に休みが取れたので三日間を使った旅行を計画した。行き先を色々と調べたところ、秋田→宮城→福島の山間をまたがる旅程が可能だと判明したので、それぞれで行きたいところを選び、必要なチケットを手配した。GWの前週なので比較的容易に手配は済み、その計画は朝5時、家のベッドの上から始まった。

 

旅行は長時間に限るというのがモットーなので、移動の朝は早い。始発に近い電車に乗り、東京に向かう。そこから盛岡まで一気に新幹線で北上した。東北地方は朝のうち雨の予報だったが、白河の関を越えた辺りで天使の梯子が雲の切れ間から差し込み、盛岡に着いた頃には青空が広がっていた。

とはいえ、盛岡に特段用事があるわけではない。一度来た土地でもある。とりあえずネットの情報に従い、福田パンという著名なコッペパン屋に向かった。各ブログによると連日行列ができるほどと書いてあったがそこは平日の朝である。並ぶこともなく名物のサラダスペシャルとあんバターを購入できた。しかし購入して店を出る頃には軽い行列ができており、更にはテレビカメラのセッティングも店先で始まっていた。人気店だということには疑いがないようだ。

盛岡の主な産業は宮沢賢治石川啄木であり、特に新婚の家を観光スポットにされている石川啄木には同情の余地しかない。そんなことを思いながら盛岡城跡でコッペパンをパクついていると(サラダスペシャルの辛子レンコンが絶品なのだ)、冷静に何をしているのだと言う気分になってきた。幸い、盛岡から今夜の宿である田沢湖駅までの切符はまだ取っていない。調べてみると予定より早く切符が取れそうだった。今回の宿は乳頭温泉郷である。いわゆる秘境の温泉であり、七つの宿で構成されている。予定ではこのうちの一つに泊まる予定だったが、早い時間で到着すれば他の宿の日帰り入浴を楽しめそうだ。おそらく石川啄木の新婚の家よりは居心地がよく過ごせそうだ。

そうと決まればひとり旅の利点、スピード感を見せつけるしかない。さっさと盛岡駅にとんぼ返りし、秋田行きのこまちに乗り込む。この旅用に買った「スローターハウス5」の中で主人公が護送列車から吐き出された辺りでちょうど、田沢湖駅に到着した。

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田沢湖駅。駅舎はきれいだがなにもない

乳頭温泉郷田沢湖駅のメイン観光地、田沢湖から更に20キロ山を分け合った所にある。昭和に建てられたであろうペンキの禿げた道にかかるアーチ「乳頭温泉郷にようこそ」をくぐりまだ雪が深く残る道をぐんぐんと登り、その道の終点で降りた頃にはバスの乗客は四人ほどに減っていた。この時点で時刻は13時。日は高いが山の空気は寒い。空の青さは気持ち白茶けた青で、目を凝らすと木々の隙間にぽっかりと田沢湖が口を開けている。振り返ると温泉の由来でもある乳頭山が名前に恥じないなだらかな稜線を見せておりしかし山頂はCERO指定のせいか雲に隠されていた。つまり温泉にはうってつけの日だった。

湯巡りも無事できたので、各宿の感想をつらつらと。

 

・妙の湯

和モダンな現代的な宿である。ランチをまず食すために向かった。提供された山菜稲庭うどんはあっさりした味付けで非常に美味い。ランチの後は入浴に向かう。ここの宿は男女に分かれた内湯と、混浴の露天風呂の二つを有している。というか乳頭温泉郷の露天風呂は基本混浴だ。温泉の外では湯巡りする女性のグループをよく見たが、ついぞ露天風呂では見なかった。まぁ仕方なしという感じは否めないが、宿によっては分かれている所もあるし時間で男女を区切っている所もある。妙の湯はそんなことはなくオールウェイズ混浴だ。ちなみに私が入った時には外国人のご婦人がいた。そこは大人なのでそれなりにそつなく入っただけだけど。ちなみに景色はとても良かっま。妙の湯の特徴は鉄を含む酸性湯だ。露天風呂から見える滝も鉄分を含んでおりカフェオレ色の流れが石を錆びさせながら滔々と流れている。内湯にも酸性湯はあり、鉄の澱をすくうことができるほどだ。お湯も良いしとにかくこの宿は雰囲気と設備がいい。そんじょそこらのいろんな意味で素朴な宿に耐えられない人はここに泊まると良いと思う。受付の人がどことなく渡辺いっけいに似ていたのもTRICKファンとしては嬉しかった(?)

 

孫六温泉

ここは少し行くのが難しい。メイン通りから1キロ弱、車一台で埋まるような道を歩く必要がある。秘境を肌で感じながら進むと古びた建物群が雪の中に現れるがそれが孫六温泉だ。温泉の種類は男女別の内湯が一つ、混浴露天が二つ。しかし露天の一つは見つけられなかった。というのもこの温泉は宿の外に点在しているからだ。宿泊したらどうかは知らないがもしこれしかないなら宿泊客は辛いだろう。肝心の湯も、ホスピタリティのかけらもない。五畳ほどの空間の中心に二畳くらいの穴が開いており、相当に熱い湯が溜まっている。入浴というよりも沐浴とか、そういう神秘的な儀式をするようななんだか神聖な湯である。てか露天風呂も露天じゃない気がするし。めっちゃ狭いし。いろんな意味でハイレベルだ。だけど入って五分ほどで汗だくになったのでこういう戦いの入浴を求めるバーサーカーにはオススメである。

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静謐な空間。川の音だけがかすかに聞こえる。

 

蟹場温泉

内湯が二つ(岩風呂、木風呂)と混浴露天風呂を有する宿。ここの混浴露天風呂は宿から少し歩いた所にあるが道から丸見えだし湯も透明なので完全に逃げ場がない、ワニブックスに見つかったら一年通してシチュエーションに使われそうな風呂である(時間によって女性専用になる)。かくいう私も一人だと思って露天カラオケをしていたら気づかないうちにもう一人おじさんが入ってきて気まずくなったりした。

内湯は両方硫黄の湯だ。特に木風呂の湯はアチアチで溜まったものではない。発火するかと思った。熱いのが好きな人にはとてもオススメだ。苦手なら岩風呂に入っておくと良い。内湯まで続く木の通路がそこはかとなくインスタに映える気もする。

 

三つの温泉バフを得て無敵になってから満を辞して向かったのが、今回宿泊する大釜温泉だ。事前に得ていた情報だと「湯が熱い」「食事が少ない」「カメムシがいる」などなんだか散々な言われようだったが、結論から言うとそんなことはなかった。湯は程々であったし、食事はきりたんぽ汁定食だと思えば少なくはない(まぁ念のため弁当を持ち込んだのが功を奏したのは確かだ)。カメムシはいるがそれは日本全国にある。ネコと同じでカメムシはいるのだ。

ここの湯は硫黄系である。底をさらえば柔らかな湯の花がすくえる。24時間入れるので、夜中に酒を飲んで入っても平気だ。入るのは平気だがそこからは自己責任なので酒は控えるように。

そんなこんなで宿に到着後は、一回寝て、食事を食い、風呂に入り、ルパンを見ながら弁当を食った。その合間に「山怪」という山での怪奇現象を集めた本を読み進めた。山奥で読めば雰囲気が出るかなと思ったが、内容は動物に化かされたという不思議な話がほとんどで恐怖系ではなかった(それは前書きにも書いてあるけど)。面白かったのはむしろマタギの分布に関する話で、そっちの専門書を読んでもよかったなと感じた。

牛肉弁当で腹を満たし、南部美人を舐めて気分良くなってから温泉に入ると、えもいわれぬ全能感に包まれる。かつてイスファハーンが世界の半分だと宣った王がいたけれど、温泉は世界の全てである。湯の表面から昇り立つ湯気は風によって形を変えながら夜の空気に溶けていく。カサが傾いだ豆電球がチラチラと揺らいだ光を投げかけている。聞こえるのは源泉が掛け流される水音と眼前に迫る山肌を撫でる夜風の音のみだ。人は1日に六万を超える思考をし、そのほとんどがマイナスな思考だそうだけどこういうところでするマイナスな思考は意外と悪くない。人とは愛とは生とはなんなのかを考えながらしばらく湯を堪能した。

ちなみに翌日、アイデンティティがない!と叫ぶことになる。

 

 

 

椅子「オカモト シルフィー」を買った(購入葛藤編)

人生の三割は睡眠に費やされているというのは通説だが、それ以外の時間人間は何をしているのかを考えるとおおむね座っている。職種にもよるがオタク、特にものつくりオタクにとってはその傾向が顕著だ。ものつくりオタクにはいい椅子が必要なのだ。

翻って自分の椅子を見てみると、5年以上使い込み座面を止めるねじは全て喪失、ありもののねじを4つの穴に3つねじ込み使っている有様である。なんともみすぼらしい。Twitterを見ていると椅子が原因で腰をやっているクリエイターは全体の3割にも及ぶ。早急な対策が必要だ。あとせっかく液タブを買ったので、この機会に作業環境をハイグレードにしてやろうという魂胆もあった。なので椅子を買うことにした。

今回椅子に求めた条件は

2万円くらい(この条件は後に破棄される)

・高さ、奥行きが可動式のひじ掛けがついている(液タブを使用する際に使うので)

・前掲姿勢になれる(いい椅子にはリクライニングが付いている。ゆったりゲームしたり映画を見る際は後ろリクライニングだが、絵を描くなどする際には前リクライニングが推奨される)

・ハイバックのもの(背中を預けられるのがハイバック、ヘッドレストもついて頭も預けられるのがエキストラハイバックと呼ばれる)

・ゲーミングチェアでない(ハイバックのものはゲーミングチェアが多く、安価だ。しかしゲーミングチェアはデカいし色が好きではない)

・なんかカッコいい(いい椅子ならカッコよくあるべきだ)

こんなものである。

まずこの条件に合致する椅子を探すとほぼ中古品になる。これは織り込み済みだ。しかしヤフーショッピング、楽天その他で出てくる中古業者は「平日のみ発送」で「時間指定不可」更に「再配達は別料金」である。つまり昼間は世を忍ぶ仮の姿(社会人)に擬態しているオタクには到底受け取れない。なので選択肢はオフィスバスターズになる(土曜発送可能、時間指定もしくは到着時間を教えてくれる)。

どこで買うかを決めたら次は何を買うかである。そして椅子を買った人が口をそろえて言うのが「試し座りをしなさい」ということだ。

だがあえて言いたい。小林よしのりがゴーマンをかますがごとく言いたい。「試し座りは面倒くさい」

試し座りの方法は主に二つ。メーカー直営のショールームに行くか、中古店の実店舗に行くかだ。前者は地理的な面倒くささもあるし、これがまた平日のみのオープンであることが多い(多分)。働く側としてはいいことだけれども、これでは普通に訪れられない。そして後者は地理問題(大体こういう中古屋の大きい店舗は郊外に存在する)と店舗の何となくの暗さがネックだ。「そんなことを面倒くさがるやつがいい椅子を買うな」という意見もあるが、オタクはこういうのが面倒くさいのだ(個人差があります)。

なので今回は試し座りはしなかった。代わりにブランドに頼った。買うのはオカムラの椅子と絞って様々なブランドを漁っていく。有名なメーカーということもあり、中古品でも10万近い椅子がバンバン出てくる。上記の条件を加味しつつオフィスバスターズのサイトから発見したのが「シルフィー」である。

シルフィーの詳しいスペックは公式サイトを参照して欲しいので、惹かれた点を挙げると

・ひじ掛けが可動式:高さ+上下左右+奥行の調整が可能。

・前掲姿勢が可能:シルフィーのリクライニングは4種類。前掲、通常、後ろ、もっと後ろと分かれている。

・背面のカーブ調整機能を搭載:背面の湾曲度を変えることが出来る。機能もいいしこの機能のために背面にカッコいい支えがある。

こんなところだろうか。機能面では申し分ない。問題は価格だが、当初2万円ほどと設定していた気持ちはもう椅子探し後半ではとうに吹き飛んでいた。結局2万ほどではあまり選択肢がなく、唯一フィーゴというブランドのものが候補に挙がっていたがあまり見た目がカッコよくなかった。なのでえいやと、清水の舞台から飛び降りる覚悟で3万円の決済を行ったのだ。

それから2週間、椅子が届いた。

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購入当初「B+」と査定されていた外見は予想よりも状態良く感じた。脚やひじ掛けに汚れ黒ずみはあったが、座ったら見えない部分だしアルコールティッシュなどで拭けばきれいになった。

また自室が2階にあるため椅子の重量を懸念していたのだが、オタクでもなんとか持てる重さだったのでなんとかなった。一人暮らしのマンションなどで買った場合は策を練る必要が出てくるだろう。

機能面については申し分ない。しかし椅子は耐久資材であるので、断続的に感想を書いていこうと思う。

インポッシブル・アーキテクチャ展に行った

建築に疎い人生を送ってきたが、急に自分の中で建築がアツい。なぜかと言うと散髪中にBRUTUSの「ル・コルビジェ特集」を読んだからだ。

その特集を見るまで、何故国立西洋美術館世界遺産になったのかすっかり分からなかった(今でも理解はしていない)がその建築史における特異性だとかピロティ(これを読むまでお祭りで売っている息を吹き込むと音と共に伸びるオモチャみたいな音だなと思っていた)の意味なんてものがうっすら見えてきた。

思えば建築を考えてみたことは無かった気がする。月並みにトマソンだとか、中銀タワーだとかガウディの貝殻が埋め込まれたマンションだとかは知っていたがそれが人間の生活の寄る辺である以上のことを見ていなかった。

 

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そんな反省もありながら向かったのが「インポッシブル・アーキテクチャ展」だった。

朝というよりは昼の時間に起き、のそのそと出支度をして駅に向かう。

夜中までクトゥルフTRPGをやっていたこともあり眠かったけれども、最寄り駅でスパイシたっぷりのラムカレーを食べチャイを飲み終わった頃にはすっかり脳は起きていた。大体カレーを食べておけば自分の機嫌が取れるのだ。甘いチャイを腹に収めたまま書店でケン・リュウ『神の動物園』を買って行きすがらに読む。読み耽る。さすが現代最高峰のSF作家というか実に良かった。

埼玉県立近代美術館北浦和駅からほど近い公園の中に建っている。展覧会は外から見てもわかるほどの人の密度であり、年代も様々だった。

 

結果から言うととても良い展示で、久々に脳の違うところがこじ開けられる感覚を味わえた。建築は建築者と使用者がいて成り立つものだけども、その使用者がいないアンビルドな建築がここまで表現になっているのかという衝撃が凄い。一見意味不明な建築が解説による補助線で朧気ながらも意味を持ち始める瞬間、その(物理的に)どデカイ

意味の前にたじろいでしまうのだ。

・ダニエル・リベスキント『マイクロメガス』

解説いわく、「設計図という3次元を前提とした2次元を意味から脱却させたドローイング」らしい。どーいうこっちゃと思いつつ作品を見ると3次元的を超えた立体感のある線の集合に圧倒される。昔、ジャクソン・ポロックのアクションペインティング作品を見たときのような、脳に許容を超えた意味とかが流れ込んでくるような感覚だった。こんな尖った思想の人物が建築できたのかと思ったらちゃんと仕事しててよかったね、となった。

ヤコブ・チェルニホフのドローイング

ネットを探したら情報が全然ない。絶対にグラフィック畑の人が好きだろと思った色彩と迷いのないドローイング。もはや建築というよりドローイング作品だ。というかさっきからロシア周辺国の話が多い・国威掲揚でバカでかいモニュメントいっぱいあるしな北の方…。

メタボリズム1960

菊竹清訓の「海上都市」黒川紀章の「ヘリックスシティ」「農村都市計画」など魅力的なアイデアが盛りだくさんだ。「農村都市計画」の都市をあるフレームで実現し組み替えられるようにする考えは世界中で行われているようで、「パレスシティ」などの例もあったがやはりわくわくしてしまう。そしてこれらは会場を出たあとの「見えない都市」という映像作品で実際に都内に出現するのだ。CG加工とはいえ家々の隙間から覗くメガアーキテクチャはたまらない。

ザハ・ハディド「国立新競技場」

ここが今回の白眉である。視聴者からすれば「なんかいろいろあって変わったやつ」というくらいの認識を膨大な資料、設計図、証明書で殴ってくる。子供の背丈ほどに分厚い説明書と認可の書類の束はこの労力が灰燼に帰したことを示しているし、それがポッシブルだったという事実を突きつけてくる。これまでの展示であったアンビルド建築とこの建築の差はなんなのか。壁に掲げられた設計事務所のコメントから伺える静かな怒りから目をそらせない。

会田誠 山口晃日本橋案」

現代日本の芸術のトップランナーの二人の案は荒唐無稽なあんだけれどもそれがインポッシブルである意味を考えさせるものだった。仲いいなお前ら。

 

…とまぁ実に示唆的なと言うか、しばらくは作家の名前でググりつつ好奇心を満たせそうないい展覧会だった。問題は明日までということだけども、巡回をまとう。

 

そしてその後は北浦和をマフィンとコーヒーを飲みながらフラフラして帰った。

美術館浴が高まったのでコルビュジエ展も行こうかな…。

 

スパイダーバース見た(吹き替え・IMAX3D

スパイダーバースを見て、スクリーンを出たところで今からスパイダーバースを見る人達とすれ違った。その背中を見て思った。

「TCXで見れば良かった……」

 

スパイダーバースは二時間のスーパーグラフィカルストーリーでありハイパーモーショングラフィックスだ。高揚と快楽、思慮と耽溺のジェットコースターだ。つまり最高である。

基本創作物には加点方式で臨むので総合得点は200那由多を超えるのだけど、何が明確にいいのかというとやはりストーリーだろう。

スパイダーバース、という名に恥じない前設定。ピーターパーカーという存在を殺した後の人々の描写には、そこまでのフリークでない自分に刺さる物もあった。マイルスの思いも一辺倒でなく、日常の些細な(と思える)思春期の悩み、大いなる意志への向き合い方、全てがないまぜになった内面が挙動にも現れる豊かなモーションが、丁寧に積み上げられる全般を引っ張っていく。ここでもコミックを下敷きとしたグラフィックは多く使われているが、むしろ心境を反映したレイアウトの外さなさも光っている。

 

そして話が転がる中盤、ピーター・B・パーカーやグウェンダを柱としてノワール、ペニーパーカー、ピーターポーカーらスパイダーお祭りフェスティバルが開催されつつ、ここで立ち現れるのはヒーローを逆手に取った孤独故の共感だ。現実世界でも似通った悩みを抱える人達が強く結ばれる例はあるが、ヒーローのそれは比ではない。スパイダーセンスでの理解は痛みを共にするというものでもあり、そこには(実力的に)入れないマイルスはヴィジョンズと似ている。すでにあるコミュニティからの阻害を前に透明になってしまう心を、(自称)師であるピーター・B・パーカーは必死に繫ぎ止めようとする。グウェンダとのキーワードになる『友達』だが、Bパーカーにとってもマイルスは、弟子であり、バディだった。

 

そして後半は、めちゃんこな世界観の中で乱痴気バトルが繰り広げられる。ここはもう怒涛の伏線(というか構図)回収なのだけど、そんなことをやるのはわかりきっていても、最高だ。これが始まりの物語となるマイルスのスパイダーマンストーリーは素晴らしいものになるだろう……。

 

とか言っているが、個人的に、趣味でいうならやはり映像が神だった。これを見るために生きてきたと最初見た時本当に思った。カラースクリプトの巧みさ(ハイライトの入れ方!)スウィングの爽快感、ビルの落差を使った描き文字の演出。キメで敵味方関係なく出るコミック表現、完全に気持ちよくなってしまった。あとキャラ萌え。マイルスとBパーカーの師弟関係とグウェンダとの父母ネタ、ペニーパーカーのかわいさとノワールの天然ボケ、ポーカーの版権ネタ……コミコンでなくコミケで本を読みたい。マーベル盛んだもんなその辺。誰か頼む。

 

感想がまとまらないけどとても良かった。スパイダーバース、最高です。とりあえずみんな吹き替えで見て師弟に尊くなってほしい。IMAXの家の中のバトルも最高だしな!!ラストは言わずもがな!

 

日記(3/1〜3/3)

仕事終わりの週末、職場でセリ鍋を食べた。セリと鶏肉と麩で構成された鍋をモリモリと食べ日本酒を飲んでいると「これが完璧……!」という気分になる。完璧なものは思ったよりこの世の中に沢山ある。職場の飲み会といって連想される社会的な会話はあまりなかったのも良かったのか酒が進み、帰宅したら即寝てしまった。

起床すると昼であり、ジムに行く日課は諦めることになった。新宿に行く用事があったので、車内の暇な時間に備えて駅の書店で森見登美彦の『熱帯』を買う。ハードカバーだったが、いわゆるオタク界で言われる1700円は大元へ払う金額としては安い部類だ。あまり読まなくなってから思うが本のコスパは尋常でない。序盤を読み進めつつ新宿へ向かい、コンタクトレンズの度を直した。割と待たされたので綺麗な女性の助手(歯科でいう歯科衛生士のポジションだろうか)を見ていた。目の周りを赤く縁取るメイクは物語性があって良い。

そのあと大学のOB同士の飲み会があったが、そこまで中途半端に時間が空いていたので眼科から喫茶店に向かった。薄暗い店内に置かれたがっしりとした木のカウンターで『熱帯』の続きを読む。氏はファンタジーノベル大賞でデビューしているので元々ファンタジーの人だけれども、そのファンタジーの筆致は年々進化していると感じる。『夜行』よりも自在に世界のトーンを操っているようでページを繰る手が止まらない。貪るように読みふける。ふと横を見ると青年が煙草をふかしながら金原ひとみを読んでいた。

そうして二時間ほど物語とアップルパイと珈琲を味わった後、母校近くの飲み屋でサークルの同期と酒を酌み交わした。当たり前に二時間遅刻してくる同期達は時間感覚以外は相応に歳をとっており、年齢にふさわしい話にあまり綺麗でない花が咲き誇ったという。

そんな中あっさりと終電を逃し、後輩の家に転がり込んだ挙句昔作ったアニメを見て見るに耐えない心持ちになった。二人して松屋の牛丼を食べているうちに寝落ち、朝を迎え震えながら帰宅した。寝床で奇妙な旅の夢を見た。

そして日曜の昼にのそのそと起き出し、原稿を進めたりした。

そんな週末。

ポジティブは意思

ポジティブは意思だと言う。

酒を飲んでポジティブな時はそれは果たして意思だろうか。

酒を飲むと大抵ネガティブな事を笑い飛ばしたり、ともすれば失敗したりして翌日後悔する。

それでも時々、お酒を飲んで良かったなと思う夜があったりする。

ローマでブドウを踏んでいた頃から人類は、そんな夜のためにアルコールを飲んできたのかもしれない。

そう思うと少し、ポジティブになるのだ。

ポジティブは意思だ。

cintiq16のスタンドを自作した

cintiq16を買ったことはブログに書いたのだけど、液タブを使う際に必須なのはそのスタンドだ。板タブのように平面においてはその真価は発揮されないのだが、立てるためのスタンドは買うと高い。なので自分で作ってしまおうとなった。高名な方で台ごと作っている人がいたりしたがそこまでは無理なので、液タブを載せてある程度角度がコントロールできる台を今回は目指した。

 

そんなわけでホームセンターを1時間半さまよって見つけてきた商品がこちらである。

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工具は家にあるものだ

構造を決め打ちしなかったためグダグダな買い物になったが、ともかくものは揃った。

・お絵かき台(これはもともと持っていたもの)

・有孔ボード

・有孔ボード用フック

・端材の板

・蝶番

これが今回のイカれたメンバーだ。早速組み立てる。今回は「液タブを角度を変えつつ立てられる」「下にキーボードを置くスペースがある」の2つが条件だ。それを満たした完成予定の形が下図だ。

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この時点で端材の板は切断済み

おわかりいただけただろうか。端材を脚に上に有孔ボードを置く。そして有孔ボードとお絵かき台の裏を蝶番で接続するといった塩梅だ。裏面は下の感じ

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もうネジ止めがされている

これでお絵かき台は180°固定された状態で動くことになる。それを有孔ボード用フックで支えるというのが作戦だ。作戦と言いつつもう出来上がりの写真になってきているが、正直特に面白みもなく独創性を発揮することもなく作業は終了した。1つ言うなら既成品のお絵描き台に人力でネジを入れるのは無理だということだろうか。おかげで蝶番の接続が甘くなったが、使えれば良いのだ。そしてできたのがこちら

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後ろのモニターはSwitchの箱に乗っている

見づらいが、液タブが立っている。角度は有効ボードフックの位置を調節することで変えられる仕様だ。まぁ大味な調整しかできないが純正品もこんな感じなので。

 

という感じで無事スタンドは完成した。液タブ周りは大体片が付いたかなという感じである。そして久方ぶりの土曜大工の結果自分の計画性のなさ(何も考えずホームセンターに行く)不器用さ(ネジの大きさがわからない)などに気づけたので次回からは気をつけようと思う。おわり。