続けてもいいから嘘は歌わないで

同人作家の同人以外の雑記が主です

日記(慶應大学・インフォデミック)

目が覚め、耳栓をしたままトイレに行く。そしてカプセルに戻り二度寝した(これはカプセルホテルに泊まる時のルーチンともいえる
何故かカプセルホテルって汗を大量にかくし尿も多く出る。さらにサウナに入るのだから水分がからっけつになる)。
起きたらチェックアウト時間に近かった。サクッと朝風呂を浴び(なぜかここはシャワーの椅子がいわゆるスケベ椅子でどうにもおさまりが悪かった)、チェックアウト。動線の関係上館内着でフロントから外を見るのが面白かった。
とりあえず川崎駅まで歩き、ドトールの高級店でモーニングを食べる。
コーヒーの作用でしゃっきりしてから、駅前にあるモンベルとアウトドアショップへ。椅子を探しているので立ったり座ったりする。店員さんに勧められたコールマンのレイチェア、いいけど持ち歩きにくい。Helinoxの座り心地はいいのだが、値段と釣り合っているかは微妙な気がする手
電車で三田へ。目指すは慶應大学だ。とりあえずキャンパス前のタイ料理屋でカレーを食べる。えらくうまかった。最近タイ料理のココナッツの甘みの良さがわかってきた気がする。
日曜日の大学には人気がない。慶應大学のキャンパスに入るのは初めてだ。同級生に慶應に行ったやつがいて、3年ぶりに俺の大学構内ですれ違ったとき偉人くらいセピア色のスーツを着ていたのを覚えている。慶應すぎるエピソードだ。で、なんで慶應に来たかというとセミナというかシンポジウムを聴講するためだった。その名も『小山田圭吾の炎上から考えるインフォデミック』というシンポジウムだ。東京オリンピックの楽曲制作から、SNSを発端とした炎上騒ぎで降ろされ、今復活しつつある小山田圭吾。その炎上のタイムラインや本人のライフヒストリー、更にはSNSの炎上と東京オリンピックが持つ性格までを四人の識者が語り合うという催しをTwitterで見かけ、慶應大学に足を踏み入れるという興味も込みで申し込んだのだった。いざ会場に着くとそこは大学の小さな部屋で、識者たちと運営陣、他の聴講者含めて30人ほどのこぢんまりとしたイベントになっていた。雨だし。でも内容は非常に充実しており、当たり前のようにシンポジウムの時間は延長された。俺は前日の疲労もあり途中で帰ってしまったが、大変示唆に富んでいたし、SNS含めた人間同士のコミュニケーションへの理解が深まったと感じた。

看板



以下個人的なメモ
アナーキーロマン主義
→若気の至り「やりたいことをやるんだ」
→既存の集団(社会)に対する個を重要視する姿勢
→これらの思想は渋谷系というラベルに回収される
小沢健二
渋谷系のラベル以外(自分と同質の空間)の範囲へ自らの発見を届けたい、という思考
ロマン主義:人々の結びつきがなくなっていく(近代)の中で新たな結びつきを作り出す運動(宗教などがここで台頭する)→人々を結び付けない事は出来ない、がそこを繰り返し目指すのが近代の運動
小山田圭吾
渋谷系の外を志向する
→普通がなくなっていく近代的な運動の中で、悪趣味系に関心を持つ(普通(良いシーン)へのオルタナティブとしての悪趣味系)
『いじめ紀行』自体の構造として、普通ではない体験を共有しいじめに対する普通のイメージを揺さぶる、という構造がある。その構造と小山田の当時の思想はつながる部分がある。
・いじめ問題
構築主義:ある出来事は社会的に作り上げられるもの。ただ起こった訳では無い
→いじめ問題で言うと「いじめは作られた」
構築主義自体心理的に受け入れがたい部分もある
・炎上社会は克服可能か?
インフォデミックと繋がる点がある
炎上社会・キャンセルカルチャーは完全に克服は出来ないのでは?→部分的にはできるかも

○90年代より前の話
小山田圭吾の当時の状況:自らのやりたいこと、周囲に求められること、世間からの評価のギャップに悩まされる

○プラットフォームの責任、メディアの責任
2ちゃんねるで起きたこと
・荒らし計画/引用の恣意的なコピペ/これらが匿名のプラットフォームで行われること
→プラットフォームの問題ではなくその使用者の問題であるというひろゆきの認識
ネットサービス・プラットフォームは法律上比較的守られている
ホワイトハウス襲撃でここのプラットフォームとしての責任は問われ始めている
→日本ではどうなのか?昔からこの問題は起こっているが…
・ 匿名プラットフォームでしか居場所がない
・プラットフォーム上で友好的な関係が築けていない
・それらが事件になるまでの書き込みへプラットフォームが対応をしていない
→これらの問題を放置して「表現の自由」は成立するのか?プラットフォームによる表現の変化(過激になる、いじめの温床になる)はどう防ぐのか?
WELQ(キュレーションサイト)問題
→キュレーションサイトが著作権違反の記事を量産
質を省みない/メディアの志がない
SEOはそれを求める母数(検索機会を求める企業、それで稼ぐ企業の数)、検索数に大きく左右される→YMYL(人生に関わる重要なトピック)はGoogleの方である程度アルゴリズムの監視が入っている
紙メディアがWEBメディアに近づいている?
→情報を他者に伝えることには責任が伴う

○炎上史と運動史
キャンセルカルチャー:右派→リベラルの批判に使われる言葉でもある
憤りが向けられているファクトチェック
告発者の意図や感情を分析する
※流言研究
なぜ燃え上がったのか(環境要因)
エコーチェンバーは認知の問題(感情に気づけない/良い悪いの区別がつかないこと)→そもそも何故そういう感情が湧いてしまうのか

・04年の運動(2ちゃんねるの祭)
「弱者男性」コミュニティとしての2ちゃんねる
新自由主義→男性の地位低下→男性のセルフヘルプ→階級闘争アキバ系からの反撃)
階級とは?恋愛資本主義/ヤンキー/おしゃれ鬼畜→小山田圭吾への接続
※雑談の最初の板は無職だめ
「情報強者」コミュニティとしての2ちゃんねる
コミュニケーションの再定義(ハイパーメリトクラシー):「対人関係」から「情報通信」へ
集合知によるインテリジェンス活動:集合的探索→ゲーミフィケーション
新自由主義への対応:新保守主義と結びつく

○20年の運動(SNS上の炎上)
リベラルコンセンサスの再構築(11年の震災→反原発に端を欲する※戦後民主主義との合流→しばき隊→モリカケ→オリンピック反対)
反権力(反原発・反安倍・反差別)→ナショナリズムネポティズム縁故主義≒属性主義(昭和主義的)↔反差別※属性で人を決めるな)
戦後民主主義(リベラルの核となる)・アイデンティティポリティクス・福祉国家論→弱者との連帯が必要だよね→小山田圭吾
・規範形成圧力と自己呈示圧力
価値観のアップデート→ラベリングによる逸脱→集合的沸騰・スケープゴートへの血祭り
・評価の仕方が評価される(乗り遅れる/沈黙すらも評価対象)→評価のための競争
モラルアントレプレナー(モラル道徳起業家)→新しい価値観の提示→共感を得るための反感を求める→反感を炎上により作り上げる(情報カスケード)

2ちゃんねるSNS(リベラル)はなぜ火種を受け継ぐのか
バカッター:告発者としての2ちゃんねらー→叱責者としてのネット世論
大津いじめ:ネット集合知による実名報道(90年代から常に続いている)→一般世論とネット世論が接続
性差別表現:マイノリティ問題が炎上の矛先になる→リベラル世論との接続
エンブレム騒動:ネット世論がマスメディア批判に繋がり、リベラル世論と結びつく
オリンピック辞任:封建遺制(対昭和)からの脱却、セクシズム、ルッキズムネポティズムナショナリズムが噴出

複雑さを巡るポリティクス
・誰が複雑さを縮減するのか
マスメディア:ジャーナリズム(疑似環境)
ネットメディア:Google検索アルゴリズムSNS(友達の目に影響される)、まとめサイト(庶民感覚→みんなこう言ってるし)
縮減のメカニズム
・右派:マスメディア批判→自分たちのやり方で縮減する→縮減自体が右派的な運動になる
・左派:ハッシュタグアクティビズム→問題のフレーミングとシンボル化→フレーミングにより友と敵を作りだす。
→そもそも社会をフレーミングすることで問題提起が可能になる
アテンションエコノミー/分断社会:縮減することが金になる→複雑さには学習が必要→学習自体が有閑階級が行うこと→複雑なことは奢侈品か?

そのまま帰る。早めに就寝