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「哲学の先生と人生の話をしよう」読んだ

「哲学の先生と人生の話をしよう」読んだ。
本書は雑誌の連載をまとめたもので内容は人生相談への応答だ。自分はこういう人生相談コンテンツにはあまり触れたことがなかったのだけど、この本の特徴として回答者である國分功一郎の相談の読み解きという点が挙げられると感じた。相談内容に寄り添う前にまず観察し、読み解き、相談外の事象を浮かび上がらせる様はほんの論評のようにも感じられる。恋人に関する相談について「あなたの文章から恋人の具体的な像が全く浮かんでこない」と言ったり悩みの相談に対して「前半の悩みと後半の悩みが接続詞でつながっているだけで論理が破綻している。その破綻こそがあなたの虚飾であり悩みの根源だ」と言ったり。人生相談でよく言われる?一刀両断さとはまたちょっと違う一刀両断さが回答にはある。
またほとんどの相談へ明確な回答はなく、しかし答えへの道しるべとして哲学書の引用が挙げられる。自分の悩みが哲学というジャンルにでも悩みとしてとらえられていて、それを読むことで自分の悩みへの視点を変えられるという悩みの対消滅ともいう療法をこの本は取っておりそれが斬新で面白かった。