某日
天王洲アイルに『文化庁メディア芸術祭25周年企画展』を見に行く。まずコミケに向かう時に『天王洲アイルお嬢様』と言われるときにしか見ない駅で降りると周囲は物悲しいビジネス街だった。会場は寺田倉庫の持つホールなのだけど、周囲には似たようなホールが点在していてわかりにくかった。看板に導かれて会場に入るとそこそこの人出。案内を受けてから会場を見て回る。
文化庁メディア芸術祭はカルチャーを横断した大規模な企画展で、現代アートに限らないメディアアート、インタラクティブアート他マンガアニメなどがごった煮になったその受賞作たちは一種ハイセンスなキュレーションの賜であり多くのオタクに影響を与えている。企画展を見ているだけの自分も、たしか2009年くらいから断続的に足を運んでいたのだけど成長期に多くの影響を受けた。そこから名前を知って展覧会に足を運んだりした作家も少なくなく、ある種自分の中のカルチャーの系譜の根っこにあたるものだと言える。それが突然の終了ということでとても残念だ。せめてもの思いでこうして振り返りの展覧会に足を運ぶと色々と思い出すもので、見たことある展示も見たことない展示もたいそう面白かった。初期の受賞作にゼルダの伝説シリーズあるんだなぁとか攻殻機動隊はアニメのシリーズ別で年をまたいで受賞しててすごいとか。2009年のナルティメットヒーローの展示覚えてるなぁとか。『(不)可能な子供』のインパクトある写真会場で見たなぁとか。他の年度もすごくてこうの史代の原画が置いてあり、『10番目の感傷』は実際に動いているものを見られる。『これは映画ではないらしい』も機械を実際に触れるしなんだかんだ結構じっくり1時間半くらい見て回ってしまった。途中に漫画の受賞作が全部読めるライブラリもありほぼセンスの良いマンガ喫茶と化しているのもいい。ちなみにかなり心に刺さったのはヨフの展示で来月ある個展にも行ってみようと思う。
満足して会場を出て、その夜落ち合う予定の友人の最寄り駅へ。ドトールで勉強してブレイディみかこの『他人の靴を履く』を読み進める。中身はエンパシーという言葉にまつわる様々な言説を紹介していくようなもの。ブックガイドとしてもかなり良くて中で紹介されている本をいくつか読みたくなった。読みやすく丁寧な文体なので最後まで読んだらまた感想を書いてみたい。
友人と落ち合い餃子を食べる。店はえらく混んでいた。