今週のお題「上半期ベスト◯◯」
ちょうどコンテンツお話会をしたので、そこから抜粋して上半期個人的ベストコンテンツを紹介します
◯MV
この曲でこの演出やろうと思ってこのキャラデザにするの本当に頭のネジが飛んでる。物語をあえて閉じないで予想で終わらせる潔さ。井上涼ありがとう
◯漫画
違国日記
事故で家族を失った中学三年生を「あなたはもっと美しいものを受けるに値する」と引き取る35歳独居女性(亡くなった母の妹)の漫画。こう書くと何が面白いねんだがとにかくこの漫画は作者の描写力とセリフ力が突出しており物語に恐ろしい強度を与えている。この漫画のキャラはみんな生きづらそうで、正直こういう生きづらさというのは強烈な共感を生むので安易に作品にしやすい(し、それが一歩間違えると『お気持ち』として処理されてしまう)のだけど、この作品は作中の小説家(フィクションの手練)がそれを語ることでリアルな生きづらさを現実からうまく乖離させてエンタメを共存させているところが大変よろしい…
◯TV
SIXHACK
TVで大真面目にモキュメンタリーをする作風の大森Dとインターネットの鬼子ダヴィンチ恐山と異常動画作家Franz K Endoが組んだ異形のTV番組。ぱっと見ビジネス番組を小バカにする番組かと思いきやいつのまにか番組が陰謀論に乗っ取られ放送休止になってしまう。その後の顛末は再現ドラマで語られるというなんとも凝った作り。普通にモキュメンタリー部分も面白い(ダヴィンチ恐山らしいヒネたセンス)し陰謀論にありがちな曼荼羅図をバカにするとこは毎回笑ってしまう。『このテープ持ってないですか?』を一段メタに引き上げた完成度
◯映画
スパイダーバース アクロス・ザ・ユニバース
この映画の画面についてはもはや語る言葉がない(厚塗りのアニメってできるんだ)。というか「これで前編かよちょっと話長くないか」を「話が長い分最高の画面がずっと見られるので最高」でねじ伏せるのはズル。前編として見るとマルチバース映画としてしっかりと『帰る』ことを強調しているのが印象的。特にお母さんの「どんなすごい人たちの中にいてもあなたが愛されていたという事実を忘れないで」という語りからはアメリカ映画における家族観のアップデートの著しさを感じた。自尊心!あとホービーが良キャラすぎるので絶対後編でバンドのシーンあるだろ。俺にはわかる。さらにいえばスパイダーバースは運命(=ナラティブ)を否定するという明確なテーマがありやっぱアニメにおいてどうこれを否定していくのかは見どころ。